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2022.07.06
デザインコンセプト
世界中で展開されているハイアットプレイスブランドが京都に進出するにあたって、旅慣れたゲストがいつもどおり気軽に居心地よく滞在できる事は今回の大切な条件でした。ゲストにとってはこのホテルは非日常の世界でなく、日常の延長線上の第二のホームのようなものです。
そのため京都を過度に強調するデザインではなく「京都の普遍的な心地良さとは何か」を追求し2つのコンセプトをデザインに折り込みました。
“つながりの空間”
京の町並みから通りへ、そのままウチにつながり、また町に抜けていく。
インテリアの中心に京路地のような軸線を通し、その路地を中心としてレセプションやラウンジ、バー、レストランを配置しています。この“ウチ”路地を作ることで町を渡り歩くかのようにホテルに入り滞在を楽しみ、そのまま奥に続くゲストルームへ帰ることができる、その町とのつながりを大事にしました。別館側の通りともつながるこのウチ路地は、天窓や格子窓からの自然光を感じられる居心地のよい空間となっています。
また、町の新しい路地としてファサードからも“ウチ”の通りを魅せることで“ソト”との関係性も大切にしています。
“京のひかりと影”
天窓や格子戸のように、京町家の空間でとても重要な意味も持つ光と影は、日中のデリケートな光を機能的にコントロールしながら、陰と陽のもつ表情が奥行きのある深み作りだしています。夜は行灯などの低い灯りが日中と全く違った表情豊かな演出を担っています。
この柔らかく多彩な“京のひかりと影”をモダンに応用し、今の時代のトラベラーに寄り添った演出として随所に取り入れました。
本棟1Fがパブリックエリアとなり、烏丸通りから両替町通りまでを繋ぐ“ウチ”路地として瓦敷の動線を設けています。京都作家の大胆なアートや瓦や格子、織物を取り入れながらいわゆる和風ではないインターナショナルモダンのホテル空間を実現しました。
標準25㎡の客室は、コンパクトながら非常に大きな窓を持ち、その先の庭や京都の町を取り込み面積以上の広がりを感じることができます。シンプルなデザインの中に必要な機能を全て取り込み、ダイニングにも使えるリビングエリア、デスクや移動しやすいスツール、ベッドになるソファ等、ゲストの目的に合わせフレキシブルに使うことができます。ヘッドボード上には柔らかに虹色の影が落ちるアートを設置しました。光の加減により強さが変わる影は、天候や時の移り変わりの奥行きを与えています。